森林簿は、森林の所在地や所有者、面積や樹種など、森林に関する様々な情報を記載した帳簿です。
森林の所有者や管理者だけでなく、森林に関わる様々な関係者にとって重要な情報源となります。
そこで今回は、森林簿について森林計画図との関係から取得方法、林地台帳との違いまで詳しく解説します。
森林簿と森林計画図の関係
「森林簿」は、森林の所在地や所有者、面積や森林の種類、材積や成長量などの森林に関する情報を記載した台帳のことで、森林を所有・管理する上で、欠かせない情報源となります。
しかし、森林簿は空中写真や聞き取りによる間接調査で作成されており、現地での実測や確認は行っていません。そのため、所有権や土地に関する権利、立木竹の評価を証明するものではないので注意が必要です。
「森林計画図」は、各都道府県が地域の森林の管理、施業計画をたてるうえで作成されたもので、1/5,000の地形図に行政区界、林小班界、林道等を示した図面です。
この森林簿と森林計画図は対応関係にあります。森林簿が立木や土地資源をまとめたものに対し、森林計画図はその資源がどの範囲に当たるものなのかを示す地図になります。
森林簿はどこで取得できる?
森林簿は、森林が所在する市町村役場や、森林組合で閲覧・交付を受けることができます。
森林簿の閲覧
森林簿は、原則として誰でも閲覧することができます。ただし、個人情報保護の観点から、所有者や管理者の氏名・名称などは非公開とされている場合があります。
森林簿の交付
森林簿の交付を受けるには、申請が必要です。森林所有者本人以外の方が、森林簿の閲覧・交付を申請する場合は、森林所有者からの委任状等が必要となる場合もあります。申請に必要な書類や手数料は、市町村によって異なりますので、事前に確認しておきましょう。
森林簿の交付を受ける際の注意点
森林簿は、個人情報が含まれる場合がありますので、取り扱いには十分注意しましょう。
森林簿の内容に変更があった場合は、お住まいの市町村の林務担当課にお問い合わせいただくか、森林組合や林業事業体にご相談ください。
森林簿の林小班(小班)とは?
森林簿に記載された林小班(りんしょうはん)は、森林所有者、樹種、林齢、作業上の取り扱いなどが同一な森林ごとに細分される区画のことを指します。
森林簿は、この林小班と呼ばれる単位で森林を区切り、それぞれの情報を管理しています。
森林経営計画は、林小班ごとに策定されるため、各林小班の状況に合わせて、適切な伐採や植栽などの計画を立てることができます。
森林簿と林地台帳の違い
従来から森林に関する基本的な情報として利用されてきた「森林簿」と、平成28年5月の森林法改正により、制度として運用が開始された「林地台帳」には、主に以下の様な違いがあります。
種類 | 作成主体 | 基本単位 | 記載内容 |
---|---|---|---|
森林簿 | 都道府県 | 林小班 | 森林資源情報施業履歴など |
林地台帳 | 市町村 | 地番 | 森林の土地の所有者林地の境界情報など |
林地台帳は、市町村が統一的な基準に基づき、森林の土地の所有者や林地の境界に関する情報などをとりまとめたものです。
平成28年5月の森林法改正により、地番ごとに整備する林地台帳制度が創設され、平成31年4月から制度の運用が開始されました。
林地台帳には、以下に関する項目が記載されています。
- その森林の土地の所有者の氏名又は名称及び住所
- その森林の土地の所在、地番、地目及び面積
- その森林の土地の境界に関する測量の実施状況
- その他農林水産省令で定める事項
まとめ
今回は、森林簿について、森林計画図との関係から、取得方法、林地台帳との違いを解説しました。
森林簿は、森林の所在地や所有者、面積や樹種など、森林に関する様々な情報を記載した帳簿です。森林の所有者や管理者だけでなく、森林に関わる様々な関係者にとって重要な情報源となります。
森林簿を見る際は、林小班と呼ばれる単位で管理されていることを理解しておくと、スムーズに情報を把握できます。
森林簿は、森林の保全・管理、森林経営計画の策定、森林の売買・相続など、様々な場面で活用されるため、森林を所有・管理されている方、または森林に関心のある方は、ぜひ今回の記事を参考にしてください。