地籍調査とは?土地の売却前に知っておきたい基礎知識

地籍調査は、土地の所有者、地番、境界を明確にするための重要な手続きで、土地の境界紛争を防ぎ、不動産取引を円滑に進めるために欠かせないものです。

今回は、地籍調査の基礎知識から、地籍調査が行われていない場合に発生するトラブルについて詳しく解説します。

地籍調査は土地の境界の位置や面積を測量する調査

地籍調査とは、一筆ごとの土地について、所有者、地番、地目を調査し、境界の位置と面積を測量する調査です。「地籍」とは、いわば「土地に関する戸籍」とも言えます。

分かりやすく言うと、土地の境界線や面積を明確にし、その土地が誰のものなのかをハッキリさせる作業です。

地籍調査と国土調査の違い

地籍調査は、国土調査のなかの1つの調査で、一筆ごとの土地についてその所有者・地番・地目を調査するとともに、境界の確認・測量、面積の測定を行い、現況にあった正確な地図(地籍図)及び台帳(地籍簿)を作成する調査です。

それに対し、国土調査は、国土の開発及び保全並びにその利用の高度化に資するとともに、あわせて地籍の明確化を図るため、国土の実態を科学的且つ総合的に調査することを目的として実施されています。

まとめると、地籍調査は、個々の土地の情報を正確に把握し、土地取引を円滑に進めるために重要な役割を果たし、国土調査は、国土全体の情報を把握し、国土の保全や利用計画の策定に役立つ広範な調査となります。

地籍調査はいつ行われる?

地籍調査は、土地の境界が不明確な場合や、土地の売買、相続などの際に必要に応じて全国的に実施されています。

調査を実施しようとする市町村が、関係機関との連絡や調整を行い、また住民等からの要望も踏まえ、 いつ、どの地域を調査するのかなどの計画をつくります。

その後、地元説明会地籍調査を行う地域の住民の方々へ向けて、地籍調査の内容やその必要性、調査の日程、作業実施者等について、説明会を行い調査を実施します。

地籍調査をしないとどうなる?

地籍調査が必要な理由は、土地の境界線が曖昧なままだと、境界紛争が起こったり、土地の売買や相続などの手続きがスムーズに進まなかったりするからです。

地籍調査が適切に行われていない場合、以下のようなトラブルが予測されます。

  • 土地の境界が不明確で、土地取引等を行う際にリスクを負う
  • 都市再生への支障につながる
  • 災害復旧の遅れの要因になりうる
  • 公共用地の適正管理へ支障がでる
  • 適切な森林管理等への支障をきたす

地籍調査を行うことで、このようなトラブルを未然に防ぎ、安心して土地の取引ができるようになります。

地籍調査に土地所有者の費用負担はある?

地籍調査は、原則として国、都道府県、市町村が費用を負担するため、土地所有者の費用負担はありません。

事業費については、国が2分の1、県が4分の1、市町村が4分の1を負担します。

そのため、地籍調査に関わる土地所有者の皆さんの費用負担は原則ありませんが、私有地の場合、境界杭などの設置費用は、土地所有者が負担する場合があります。

地籍調査の結果は登記所へ送付される

地籍調査の実施後は、一筆地調査と地籍測量の結果をまとめ、地籍図と地籍簿が作成されます。

  • 地籍図:土地の境界及び地番等を記載した地図
  • 地籍簿:土地の所在、地番、地目、地籍・所有者住所・氏名等を記載した簿冊

作成された地籍図と地籍簿は、住民の方々に閲覧していただき、万が一調査の結果に誤り等があった場合には、申し出ることができ、必要に応じて修正が行われます。

ここで確認された地籍調査の結果が、最終的な地籍調査の成果となり、地籍図と地籍簿の写しは登記所に送付されます。

登記所では、地籍簿をもとに登記簿を修正し、それまで登記所にあった地図の代わりに、地籍図を登記所備え付けの正式な地図とします。以後、登記所では、地籍調査の成果が不動産登記の資料として活用されます。

まとめ

今回は、地籍調査の基本的な知識について解説しました。

地籍調査は、土地の所有者、地番、境界を明確にするための重要な手続きで、土地の境界紛争を防ぎ、不動産取引を円滑に進めるために欠かせないものです。

安心して土地を所有・活用するためにも、ご自身の土地の地籍調査についてお悩みや疑問がある場合は、お住まいの市区町村役場へのご相談をおすすめします。

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