
自伐型林業を始めてみたいけれど、「何から準備すれば良いのか分からない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
自伐型林業は比較的少ない初期投資で参入できる魅力的な林業スタイルですが、成功するには適切な計画策定、技術習得、機械準備が欠かせません。
本記事では、自伐型林業の具体的な始め方を3ステップで解説し、初期費用から運営コスト、活用できる研修制度まで詳しくご紹介します。
この記事の目次
自伐型林業の始め方3ステップ
自伐型林業を始める際は、計画的なアプローチが成功の鍵です。
ここでは、初心者でも段階的に取り組めるように準備から実践まで3つのステップに分けて解説します。
計画策定と資源・需要調査
自伐型林業を成功させるには事前の調査と計画策定が欠かせません。
まず、所有または管理予定の山林について、森林基本図や森林簿を活用して現状把握を行います。樹種、樹齢、面積、地形条件などの基礎データを整理することで、適切な施業方法を判断できるようになります。
次に木材の販売先調査を実施します。地域の製材所、市場、木質バイオマス利用施設などを訪問し、需要動向や価格帯を把握しましょう。安定した収益を確保するには、複数の販売ルートを開拓しなくてはなりません。
これらの情報をもとに森林経営計画を策定します。間伐の実施時期、規模、収益予測を含む詳細な計画を立てることで、長期的な視点での森林管理が実現します。
技術習得と人材育成
自伐型林業を始めるには専門技術の習得が必要不可欠です。基本技術として伐倒技術と作業道敷設技術の習得が求められます。チェーンソーを使った伐倒方法、倒木の方向制御、効率的な玉切り技術などは実地研修を通じて身につけます。
また、重機を利用した作業道づくりは、地形を読む力と機械操作の両方が必要です。技術面だけでなく経営知識もなくてはいけません。
森林経営計画の作成方法、木材価格の動向把握、収支管理などのビジネススキルを学びましょう。
忘れてはいけないのが、労働安全衛生に関する知識です。各地で開催される研修会や自伐型林業推進協会の講座を活用し、実際の現場で経験豊富な指導者から学ぶことが成功を近づけます。
必要な機械・道具の準備と実践
自伐型林業を始めるには基本的な機械装備が必要で、初期投資として300〜500万円程度を見込む必要があります。
必須機械は主に以下のとおりです。
道具 | 説明 |
---|---|
チェーンソー | 伐倒作業の中核となる道具で、排気量や重量を作業内容に応じて選択 |
ミニバックホー | 作業道敷設に使用し、狭い山林内での機動性が重要 |
林内作業車 | 切り出した木材の搬出に活用 |
軽トラックまたは2トントラック | 運搬全般に必要 |
初期コストを抑えるには中古機械の購入やレンタル利用がおすすめです。特に稼働頻度が低い機械はレンタルを活用することで経営負担を軽減できます。
機械が揃ったら小規模な間伐作業から実践を開始します。計画に基づいて段階的に管理面積を拡大し、経験を積みながら技術向上と収益安定化を図ることが大切です。
自伐型林業を始める時の費用と運営コスト
自伐型林業を始める際は、具体的な費用感を把握することが重要です。
ここでは、初期投資から継続的な運営コストまで詳しく解説します。
初期費用(導入コスト)
自伐型林業の初期投資は300〜500万円程度が目安となり、一般的な林業と比べて参入障壁が低いことが特徴です。
最も大きな費用は機械装備の購入です。先程説明した機器の相場は以下です。
道具 | 費用 |
---|---|
チェーンソー | 150,000円~300,000円 |
ミニバックホー | 1,500,000円~3,000,000円 |
林内作業車 | 500,000円~2,000,000円 |
軽トラックまたは2トントラック | 500,000円~1,500,000円 |
高性能林業機械は不要で、必要最小限の装備で開始できるため投資額を抑制できます。
コスト削減の方法として中古機械の活用がおすすめです。特にミニバックホーや作業車は中古市場が充実しているため、新品の半額程度で購入できる場合もあります。また機械のレンタルや地域での共同利用も初期負担軽減には有効です。
その他の費用として安全管理資格の取得費用や、山林を購入または賃借する場合はその費用も発生します。
運営コスト(ランニングコスト)
自伐型林業の運営コストは少人数での作業体制により人件費を最小限に抑えられます。
主要な運営費用は以下でまとめた機械関連の維持費です。
- 燃料代
- 機械のメンテナンス費用
- チェーンソーの刃やオイル
- 作業者のタイヤなどの消耗品代
- 保険料
また、山林の維持管理では間伐、枝打ち、下草刈り、防獣ネット設置などの作業費用が発生します。これらの作業は基本的に自分で行うため材料費が中心となるので安く抑えられることが多いです。
山林所有者の場合は固定資産税も運営コストに含まれます。山林の評価額により異なりますが、一般的には数千円から数万円程度であることを覚えておきましょう。
ランニングコストの詰めを甘くすると経営自体が悪化する可能性がありますが、そのほかにも失敗事例は多数あります。失敗事例については、以下のページで詳しく解説しております。ぜひご参照ください。
自伐型林業を始める方への研修・サポート制度
自伐型林業の成功には専門知識と技術の習得が不可欠です。
ここで紹介する国や自治体が提供する充実した研修制度を活用しましょう。
林業就業支援講習(厚生労働省委託事業)
林業就業支援講習は厚生労働省委託事業として実施される研修制度で、林業未経験者でも安心して参加できます。
実践コースでは実際の林業現場でチェーンソーの安全な使用方法や間伐作業を体験しながら学ぶことができます。
体験コースは短期間で林業の概要を把握でき、就業相談会では働き方や収入面について専門相談員がアドバイスします。
各都道府県の林業労働力確保支援センターが窓口となっており、ご自身の習得したいステップに応じたコースが用意されています。
参考:林業就業支援講習
「緑の雇用」などの現場研修・人材育成
「緑の雇用」制度は林業現場でのOJT研修を通じて実践的な技術習得を支援する人材育成プログラムです。実際の森林現場でフォレストワーカーとして働きながら段階的にスキルを身につけられます。
1年目は基本的な伐倒技術、2年目は作業道づくりを含めた応用、3年目は現場管理を習得し、自伐型林業に必要な技術がすべて含まれています。
研修期間中は給与を受け取りながら学習でき、修了後は独立して事業を始める基盤が整います。
参考:緑の雇用|森林の仕事
林業労働力確保支援センターのサポート
各都道府県に設置されている林業労働力確保支援センターは自伐型林業を始める方の総合的なサポート窓口です。
就業希望者への相談では、山林の選び方や必要な機械、地域の木材市場情報などの実践的な内容を専門相談員が説明してくれます。
技術・技能向上の研修会も定期的に開催しており、個人や小規模グループでの林業経営支援も充実しています。
全国47都道府県すべてにセンターが設置され、地域特性に応じたきめ細かな支援が特徴です。
参考:林業就業支援ナビ
まとめ
自伐型林業は300〜500万円程度の初期投資で始められ、段階的なステップを踏むことで未経験者でも参入できる林業スタイルです。
計画策定から技術習得、機械準備まで体系的に取り組み、林業就業支援講習や緑の雇用制度などの公的サポートを積極的に活用することが成功の鍵といえます。
小規模から始め、適切な経営管理や継続的に技術を向上させることで環境保全と経済的自立を両立する持続可能な森林経営が実現できるでしょう。
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