
山林を所有しているが「どのように活用すれば良いのか分からない」という悩みを抱える方は多いのではないでしょうか。
そんな中、注目を集めているのが「自伐型林業」という林業スタイルです。従来の大規模林業とは異なり、小規模・低コストで始められ、副業としても十分成り立つスタイルです。
本記事では、自伐型林業の基本概念から始め方、収入の仕組み、地域ごとの特徴、そして成功させるための具体的なコツまで、山林活用を検討している方に向けた実践的な情報を解説します。
この記事の目次
自伐型林業とは
自伐型林業は、山林所有者や地域住民自らが経営から施業までを一貫して行う林業経営手法です。大規模な外部委託に依存せず、適正規模の山林で毎年少しずつ間伐を進めながら長期的な経営安定と環境保全を両立させられます。
自伐型林業の大きな特徴は、山林の所有と経営が一致している点です。所有と経営が一致していることで地域住民や小規模所有者でも参入しやすく、就業機会の創出や地方創生の手段として注目を集めています。
また、自伐型林業は木材生産に留まらず、農業や観光業との連携による6次産業化にも寄与します。
自伐型林業と現行林業の違い
中山間地域を中心に「自伐型林業」という新しい林業の仕組みが注目される一方で、山の所有者が地元の森林組合や伐採業者に林業の施行と経営を依頼する現行林業があります。
以下に、自伐型林業と現行林業の違いをまとめましたので参考にしてみてください。
項目 | 自伐型林業 | 現行林業 |
---|---|---|
経営主体 | 山林所有者・地域住民 | 森林組合・伐採業者 |
施業手法 | 長期多間伐施業(100年以上) | 短伐期皆伐施業(50年毎) |
初期投資 | 300~500万円程度 | 1億円規模 |
経営規模 | 小規模 | 大規模 |
環境 | 土砂災害防止・環境保全型 | 土砂流出リスクが高い |
このように、自伐型林業と現行林業では経営主体から施業手法まで根本が異なります。現行林業が大規模機械と高額投資を前提とするのに対し、自伐型林業は小規模で持続可能な経営を重視します。
自伐型林業を始めるのに資格は必要?
自伐型林業を始めるのに特別な国家資格や免許は必須ではありません。山林の所有や借用、チェーンソーや軽トラックなどの基本的な機材があれば、資格がなくても参入できます。
ただし、実際の作業では安全性と効率性を確保しないといけないため、労働安全衛生法に基づく講習受講がおすすめです。
主な講習は以下です。
- チェーンソー作業者特別教育
- 刈払機取扱作業者安全衛生教育
- 小型車両系建設機械運転特別教育
- 小型移動式クレーン運転技能講習
- 玉掛け技能講習など
これらは資格試験ではなく、規定の講習を受けて修了証を取得する形式のため、未経験者でも取得しやすい仕組みといえます。
また、多くの自治体や地域おこし協力隊では、未経験者が活動の中で必要な講習を取得できる支援制度を整備しています。研修や実地指導も充実しているため、林業経験がない人でも段階的にスキルを身につけながら自伐型林業に取り組むことが可能です。
より詳しく自伐型林業の始め方を知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
自伐型林業は副業として成り立つ?気になる収入源とは
自伐型林業は農業や他の仕事と両立しやすい副業としても有効な取り組みです。なかでも、農業との兼業は特に相性が良く、農閑期の秋冬に林業作業を行うことで年間を通じた安定収入を目指すこともできます。
所有する山林の規模にもよりますが、一般的な初期投資は300~500万円程度とされており、チェーンソーや軽トラックなどの小型機械で運営可能です。自分のペースで作業できるため、本業の合間に取り組める点も魅力といえます。
気になる収入源は多様で、間伐材や伐採木材の販売が基本です。他には山林整備や作業道づくりの請負業務も収入機会となります。副業として十分に成り立つことからサラリーマンや退職者、農家など多様な人が副業として参入しているのも特徴です。
収入源以外にも自伐型林業のメリットはありますので気になる方は、下記の記事もご覧ください。
自伐型林業の地域ごとの特徴
自伐型林業は地域の地形、森林資源、住民構成、自治体支援体制により取り組み方が異なるため、各地域の自然条件や社会構造に合わせて柔軟に運用できる点が特徴です。
例えば、北海道函館市では小規模私有林が多く、急傾斜地という地形的制約から大型機械導入が難しいため、小型機械を活用した自伐型林業が推進されています。市による無料研修会や講演会で地域住民の参入を積極的に支援している点も特徴です。
東北宮城県では副業として始める住民が多く、担い手不足対策や山林荒廃防止に活用されています。
高知県では長年の長伐期択伐施業の実績があり、理想的な天然林を目指した自伐型林業が根付いています。農業や観光との兼業型が多く、地域経済とコミュニティ維持に貢献している点が特徴です。
北海道での自伐型林業を検討している方は、以下の記事でより解説していますので気になる方は、下記の記事もご覧ください。
自伐型林業を成功させる5つのコツ
自伐型林業を成功させるためには、従来の大規模林業とは異なるアプローチが必要です。ここで紹介する、以下5つのコツを実践することで安定した経営を実現できるでしょう。
1. 小規模・低コスト運営を徹底する
自伐型林業の強みは低コスト運営にあります。大規模投資や高額機械に依存せず、小型機械を効果的に活用することが成功には必要です。
作業道も最小限かつ壊れにくい設計を心がけることで、余計な経費や維持費を削減できます。早期の投資回収と安定した利益確保が成功に必須です。
2. 長期的な視点で森林経営を行う
短期的な皆伐に頼らず、間伐や択伐を繰り返すことで森林資源を持続的に活用できます。100年以上の長い目で見て山を守り育てるという意識を持つことが重要です。長期的視点を持つことで、毎年安定した収益を得ながら環境保全も両立できます。
森林の成長に合わせた適切な間伐タイミングを見極めることで、高品質な木材生産と森林の健全性維持を同時に実現可能です。
3. 地域コミュニティや他産業と連携する
自伐型林業は単独での収益だけでなく、農業や観光、地域福祉などの他産業と連携することで収入源を多様化できます。地域と協力し、コミュニティの一員として活動することが長期的成功の鍵です。
6次産業化を通じて付加価値を創出し、地域全体の活性化に貢献することで、より安定した経営基盤を築けます。
4. 技術と安全への投資を惜しまない
小規模でも高密度な作業道網の整備や、最新の林業機械・ICT技術を導入することで生産性と安全性を上げることができます。
技術研修や講習を積極的に受講し、常に新しい知識とスキルを身につけることが大切です。安全装備への投資や定期的な機械メンテナンスを怠らずに徹底することが、長期的な事業継続には必要不可欠です。
5. 環境保全と災害対策を徹底する
自伐型林業は土砂災害や獣害の予防にも直結します。壊れにくい作業道の敷設や、森林の多様性を守る施業を心がけることで、地域の安全確保と生態系保全に貢献可能です。
環境に配慮した施業は地域からの信頼獲得にもつながり、事業の持続可能性を高めてくれます。
以下の記事では自伐型林業でのよくある失敗をまとめておりますので、一度目を通してみてください。
まとめ
自伐型林業は山林所有者や地域住民が自ら経営から施業まで行う持続可能な林業手法です。従来の大規模林業と異なり、300~500万円程度の低コスト運営で始められ、副業としても十分成り立ちます。
特別な資格は不要ですが、安全のための講習受講を受けるのがおすすめです。地域ごとに特徴があり、以下が成功のコツです。
- 小規模・低コスト運営の徹底
- 長期的視点
- 地域連携
- 技術投資
- 環境保全
山林を所有しているが活用方法に悩んでいる場合、自伐型林業は有効な選択肢の一つといえます。ただし適切な山林選定や事前調査には知識が必要なので専門業者への相談がおすすめです。
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