相続した山林の管理は、時間的にも金銭的にも大きな負担です。特に遠方にある山林は、定期的な見回りや整備が難しく、放置により様々なリスクが起こります。
しかし、相続した山林には、相続土地国庫帰属制度の活用や専門業者への売却など、状況に応じた複数の対処方法があります。
この記事では、北海道の山林売買に精通した「ハピネスウッドバンク」が、相続山林の放置リスクと具体的な対処法について、わかりやすく解説します。
この記事の目次
相続した山林を放置するリスク
山林の相続は、財産の承継だけでなく、管理責任も伴う問題です。放置された山林は時間の経過とともに様々な問題を引き起こし、所有者に予期せぬ損失や責任が発生する可能性があります。
ここでは、山林放置による主な3つのリスクについて詳しく解説します。
土地の荒廃と資産価値の低下
山林の放置は、土地の価値を大きく下げる深刻な問題を引き起こします。放置された山林では、間伐や下草刈りが行われないため、樹木の生育が阻害され、土地の生産性が著しく低下。
また、荒廃が進んだ山林では、日光が地表まで十分に届かなくなることで、下層植生が失われ、土壌の流出や地盤の弱体化を招きます。
これにより、山林としての機能が低下し、木材生産や環境保全といった本来の価値を失っていきます。
災害リスクの増大
放置された山林は、自然災害による被害を引き起こすリスクが高まるので周辺地域の安全を脅かす要因です。手入れされていない山林では、樹木の根が十分に張れず、大雨や台風時に土砂崩れが発生しやすい状態といえます。
特に、長期間放置された山林では、倒木や枯損木が増加し、強風で倒れることで道路を塞いだり、近隣の建物を損壊させたりする危険性があります。
このような事故が発生した場合、山林所有者は民法上の土地工作物責任を問われ、損害賠償を請求される可能性も高いです。
また、放置山林は山火事のリスクも高めます。下草や枯れ枝が堆積することで、火災が発生した際に延焼を拡大させる要因となります。
近隣トラブルの発生
近隣との深刻なトラブルを引き起こす原因にもなるのが放置された山林です。雑草や樹木が隣地に侵入して日照を妨げたり、土砂が流出して農地や宅地に被害を与えたりするケースが発生します。
また、山林内に生息する害虫や野生動物による被害も深刻な問題です。マツクイムシなどの病害虫は周辺の健全な森林に被害を及ぼし、イノシシやシカなどの野生動物は農作物を荒らす原因となります。
これらの被害に対して、山林所有者は適切な予防措置を講じる責任があることを覚えておきましょう。
山林の相続登記をしないとどうなる?
山林所有権を明確にするために相続登記は重要な法的手続きです。2024年4月からは相続登記が義務化され、期限内に手続きを行わない場合には過料が科される可能性があります。
ここでは、相続登記を行わない場合に直面する具体的なリスクについて解説していきます。
所有者不明土地化のリスク
山林の相続登記を放置すると、所有者不明土地となり、社会的な問題を引き起こします。所有者不明土地は、相続人の所在や権利関係が不明確なため管理や利用が困難です。
また、このような状態の山林は新たな相続が発生するたびに権利関係が複雑化します。特に、相続人が多数存在する場合や相続人同士が疎遠になっている場合は、権利関係の整理が難しいです。
所有者不明土地となった山林は、地域の防災計画や公共事業の実施にも支障をきたします。行政による土地収用や、地域の開発計画においても、所有者の特定が必要となるため、プロジェクトが長期化したり、中止を余儀なくされる場合もあります。
相続登記の義務化と過料
2024年4月の相続登記義務化で、山林相続も法的な対応が必須となりました。相続開始から3年以内に登記申請をしない場合、10万円以下の過料が科される制度が導入されています。
この制度は、所有者不明土地の発生を防ぎ、適切な土地管理を促進するのが目的です。特に、山林は地域の環境保全や災害防止に重要な役割を果たすため、所有権の明確化が求められています。
ただし、相続人の特定に時間を要する場合や、相続財産の調査に時間がかかる場合は過料が免除される場合もあります。単なる放置や知識不足は正当な理由として認められないため、早期の手続きをおすすめします。
山林だけを相続放棄することはできない点に注意
相続放棄は、すべての相続財産に影響を及ぼす法的判断です。山林の維持管理が困難だからといって、安易に相続放棄を選択すると、預貯金や不動産など、価値のある他の財産まで失うことになります。
相続放棄の法的効果
相続放棄は、相続人としての権利と義務を完全に放棄する法的手続きです。相続放棄が受理されると、その効力は相続開始時に遡って発生し、相続人は初めから相続権を持たなかったものとみなされます。
相続放棄の手続きは、相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述する必要があり、この期間を過ぎると原則として相続放棄はできなくなります。
山林を相続放棄しても管理義務は残る?
相続放棄すれば山林の所有者としての地位を引き継ぐことはありませんので、管理義務は課されないのが原則です。
ただし、次の相続人が確定するまでの間は財産の保存義務が残ります。これは民法940条に基づく法的義務であり、放置による第三者への損害を防ぐための規定です。
保存義務の具体的な内容は、以下にまとめた山林の現状維持に必要な最低限の管理です。
- 倒木による被害の防止
- 土砂崩れの予防など
特に注意が必要なのは、保存義務を怠ったことで第三者に損害が発生した場合、相続放棄をしていても損害賠償責任を問われる可能性があることです。
そのため、相続放棄を検討する際は、一時的な管理コストも考慮しておきましょう。
相続した山林を手放す方法
相続した山林を手放す方法としては、相続した土地を国に引き渡す「相続土地国庫帰属制度」と、山林売買の専門業者への売却が選択肢として挙げられます。
それぞれの方法には特徴や手続きの違いがあるのでここで解説します。
相続土地国庫帰属制度
相続土地国庫帰属制度は、相続した土地を国に引き渡すことができる新しい制度です。この制度は、2023年4月から施行され、特に管理が困難な山林の所有者にとって有効な制度といえます。
ただし、制度の利用には以下でまとめた複数の要件を満たす必要があります。
- 土地の境界が明確であること
- 担保権や使用権が設定されていないこと
- 土壌汚染や地下埋設物がないこと
また、申請時には10年分の管理費用相当額の負担金と、審査のための手数料が必要です。
重要なのは、崖地や土砂災害警戒区域に指定されている土地、境界が未確定の土地などは対象外になる点です。
申請から承認までには6ヶ月から1年程度の期間を要するため、計画的な対応も必要といえるでしょう。
山林売買の専門業者に売却
山林の売却や買取には、専門的な知識を有するため、通常の不動産仲介業者では扱ってもらえないケースも多々あります。
一方で、山林売買の専門業者であれば、山林に関するより専門的なノウハウを持っているため、山林の価値を適切に評価し、実態に即した価格の設定が可能です。
また、林業事業者などの、山林特有の購入層とのネットワークを持っているため、売却までの期間を短縮できるのも利点です。
なかなか売却先が見つからない場合や、相続で放置したままの管理が行き届いていない山林を所有している場合は、専門業者への売却を検討してみてはいかがでしょうか。
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