山林所得は、山林の立木を伐採して譲渡したり、立木のまま譲渡することで得られる所得です。しかし、山林所得は確定申告が絡むと、計算方法や手続きなどわかりにくい点も多いかと思います。
そこで今回は、北海道の山林事情に詳しい山の専門家「ハピネスウッドバンク」が、山林所得の基礎知識から、確定申告の手順までまとめてご紹介します。
現在、山林を所有している方、これから所有しようと考えている方も、ぜひこの記事を参考に、山林所得について理解を深め、山林の有効活用にお役立てください。
この記事の目次
山林所得とは?
山林所得とは、山林の立木を伐採して譲渡したり、立木のまま譲渡することによって得られる所得です。山林所得は、所得税、住民税の課税対象となります。
山林所得の対象となるのは、所有期間が5年を経過した山林です。所有期間が5年以内の山林を譲渡した場合の所得は、山林所得ではなく、事業所得や雑所得となります。
また、山林を土地付で譲渡する場合の土地の部分は、譲渡所得になります。
山林所得と譲渡所得との違い
山林所得と譲渡所得は、課税対象となる資産と計算方法が異なる点で区別されます。
山林所得は、山林の立木を伐採して譲渡したり、立木をそのまま譲渡することによって得られる所得に対し、譲渡所得は、土地や建物を売却することによって得られる所得です。
山林所得と、譲渡所得の計算方法の違いは、以下の記事で解説しているので参考にしてください。
山林所得の計算方法
山林所得の計算方法は、以下の通りです。
「総収入金額-必要経費-特別控除額(最高50万円)=山林所得の金額」
引用:国税庁 山林所得
総収入金額
譲渡の対価が収入金額となります。
なお、山林を伐採して自己の家屋を建築するために使用するなど家事のために消費した場合は、その消費したときの時価が総収入金額に算入されます。
必要経費
必要経費は、植林費などの取得費のほか、下刈費などの育成費、維持管理のために必要な管理費、さらに、伐採費、運搬費、仲介手数料などの譲渡費用です。
必要経費の特例
必要経費には、概算経費控除といわれる特例もあります。
伐採または譲渡した年の15年前の12月31日以前から引き続き所有していた山林を、伐採または譲渡した場合は、収入金額から伐採費などの譲渡費用を差し引いた金額の50パーセントに相当する金額に伐採費などの譲渡費用を加えた金額を必要経費とすることができます。
税額の計算方法
山林所得は、他の所得と合計せず、他の所得と異なった計算方法により税額を計算し確定申告することになります。
これは、5分5乗方式といわれるもので、次のように計算します。
( 課税山林所得金額 ×5分の1× 税率 ) × 5
山林所得の税額表
山林所得の税率は、所得金額によって異なります。山林所得の税額は、以下の通りです。
山林所得金額 | 所得税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円 ~ 9,749,000円 | 5% | 0円 |
9,750,000円 ~ 16,499,000円 | 10% | 487,500円 |
16,500,000円 ~ 34,749,000円 | 20% | 2,137,500円 |
34,750,000円 ~ 44,999,000円 | 23% | 3,180,000円 |
45,000,000円 ~ 89,999,000円 | 33% | 7,680,000円 |
90,000,000円 ~ 199,999,000円 | 40% | 13,980,000円 |
200,000,000円 ~ | 45% | 23,980,000円 |
山林所得は、総合課税ではなく、分離課税(山林所得を他の所得と区別して課税する方式)されます。
山林所得の課税売上高が1,000万円を超えると消費税がかかる
山林所得の課税売上高が1,000万円を超える場合は、消費税の納税義務が発生します。
課税売上高とは、譲渡対価から必要経費を差し引いた金額です。
ただし、個人事業の場合は、山林所得の課税売上高が1,000万円以下であれば消費税の申告は必要ありません。
山林所得の確定申告の方法
山林所得の申告方法は、以下の手順で行います。
1. 必要書類を準備する
- 申告書第一表、第二表
- 申告書第三表(分離課税用)
- 山林所得収支内訳書(計算明細書)
- 山林台帳
- 売買契約書(譲渡の場合)
- 領収書(必要経費を証明するもの)
2. 山林所得の金額を計算する
山林所得の金額は、次の式で計算します。
「山林所得金額 = 山林収入金額 – 必要経費 – 特別控除額」
山林収入金額
山林を伐採して立木を販売した場合の収入金額です。譲渡の場合は、譲渡価額となります。
必要経費
山林を伐採したり、譲渡したりするために必要な費用です。具体的には、伐採費、搬出費、運搬費、仲介手数料などが含まれます。
特別控除額
山林所得に対する控除額です。山林を長期間にわたって所有・管理してきたことを考慮して、所得金額から控除されます。
3. 確定申告書の作成、提出
確定申告書への記載方法は、国税庁のホームページを参考にご確認ください。
確定申告書は、2月16日から3月15日までの間に、税務署に提出しましょう。
山はどれくらいで売れるのか?山林売却の相場
山林の林地は、大きく4種類に分けられ、それぞれの相場は以下の通りです。
ただし、物件によって値段は異なるため、あくまで目安として押さえておきましょう。
名称 | 特徴 | 価格相場 |
---|---|---|
都市近郊林地 | 市街地の近くにある山林 | 約1,000~5,000円/㎡ |
農村林地 | 農村集落の周辺の山林 | 約300~500円/㎡ |
林業本場林地 | 林業のための山林 | 約100~300円/㎡ |
山村奥地林地 | 山奥にある山林 | 約50~150円/㎡ |
このほかにも、山林の価格は、一般的な不動産とは異なり、様々な要素によって大きく左右されます。
まず山林の面積、立木の種類や量によっては、スギやヒノキなどの高価な木材が多い山林ほど価格が高くなります。
また、住宅地や、商業地があるなどの山林の周辺環境や、市街地からのアクセスも価格に影響を与える要素の一つです。
近年はキャンプブームなどの影響により、川が近くにあったり、自然が豊かな山林も人気を集めている傾向にあります。
山は所有するだけでお金がかかります
山林所得は、伐採による木材販売や山林そのものの譲渡によって得られる収入ですが、一方で、固定資産税などの税金がかかったり、管理に費用がかかったりと、所有にかかるコストも無視できません。
山林の管理には、草刈りや枝払いなどの作業が必要であり、これにも費用がかかります。さらに、山林によっては、土砂崩れの危険や野生動物による被害などのリスクもあります。
このように、山林を所有し続けるには、様々なコストやリスクが存在します。 特に、山林を活用する予定がなく、持て余している場合は、売却を検討した方が賢明な場合があります。
山林売却のご相談はハピネスウッドバンクへ
山林売却には、様々な段取りや手続きが必要となりますが、これらの面倒な手続きは全てハピネスウッドバンクにお任せください。
豊富な経験と知識を持つスタッフが、お客様の山林を丁寧に査定し、最適な売却方法を提案いたします。
まずは、「うちの山が売れるか調べてほしい」など、些細なことでも気になることがあればぜひご相談ください。
山林売買のお問い合わせはこちらから