自宅の庭や所有する山林の立木が成長し、伐採の必要性を感じている方は多いのではないでしょうか。
立木の伐採は安全確保が最優先で、判断を誤ると重大な事故につながる危険があります。自分で処理できるケースもありますが、多くの場合は専門業者への依頼が安全で確実な解決策です。
本記事では立木伐採の必要性から具体的な方法、費用相場、必要な資格、法律上の注意点まで詳しく解説します。
正しい判断で安全な立木伐採を実現しましょう。
この記事の目次
立木の伐採が必要なのはなぜ?
立木の伐採は森林の健全な成長と安全性確保のために必要な作業です。伐採方法には間伐や皆伐といった種類があり、それぞれ異なる目的で行われます。
皆伐、間伐などの状況に応じた伐採
森林管理は目的に応じた適切な伐採方法を選ぶことが大切です。間伐は密集した森林の一部を間引く手法で、間伐により木と木の競争が軽減されるので残された木が十分な日光と栄養を得ることができます。
また、森林内の風通しと採光が改善され、山全体の地盤強化や水害防止にも効果的です。一方、皆伐は決められた区画内の木をすべて伐採する方法です。木材生産の効率化や樹齢と種類を揃えた再造林を実現します。ただし環境変化や生態系への影響が大きいため、慎重な計画と施業が必要です。
立木売買時の伐採
立木売買における伐採は売買契約に基づいた計画的な作業が必要です。事前に以下の詳細を取り決めてから実施します。
- 伐採方法
- 搬出期限
- 区域確認
- 現地調査
- 作業道開設など
売買による伐採では木材を伐採し市場へ搬出して初めて売却が成立します。所有山林の伐採収入については森林経営計画に基づくことで税制上の控除や特例が適用される場合もあります。
また、立木の伐採には自治体への届出が必要な場合もあり、権利関係の手続きや現地作業での注意点について公的機関や専門林業会社から指導を受けることが大切です。適切な手続きを踏むことが安全かつ効率的な伐採作業につながります。
立木の伐採方法
立木の伐採は受け口と追い口を作り、倒す方向をコントロールして作業することが重要です。作業の規模や条件により自分で行うか業者に依頼するかを判断しなければ大規模な損害につながるのでここで解説します。
自分で立木を伐採する方法
自分で立木を伐採する場合は安全な手順を守ることが最も重要です。まず倒す方向を決定し、その方向に目印をつけて退避場所を確認します。
次に倒したい方向に受け口を作ります。受け口は木の直径の4分の1から3分の1の大きさで、水平に切り込んでから斜めに切り込みます。
続いて受け口の反対側に追い口を作らなければなりません。追い口は木の直径の20から30%の深さで水平に切り込み、受け口より少し高い位置から入れます。木が傾き始めたらチェーンソーを離して速やかに安全な位置に退避してください。
作業時は以下の安全装備を必ず着用し、複数人での作業が必須です。
- へルメット
- 防護ズボン
- ゴーグル
- 安全靴など
業者に依頼すべきケース
業者への依頼が必要なケースは安全性とリスク回避の2点から判断します。木が高くて自分で安全に作業できない場合や、倒す方向に家屋、電線、道路などの障害物がある場合は専門業者に依頼すべきです。また、周囲に人や動物が多く事故のリスクが高い環境も同様です。
法律上の届出が必要なケースや特別な許可が求められる場合や専用機械を使用した高度な技術が必要な大径木や危険木の処理も業者対応がおすすめです。業者は専門的技術を持っているため廃棄処理まで一括での対応ができます。
費用はかかりますが、リスクを考えると非常に大きなメリットがある選択肢といえるでしょう。
立木伐採の費用相場
立木伐採の費用は木の高さや太さ、作業環境により変動します。伐採本体の料金に加えて枝葉処分や抜根などの追加費用も発生するので事前確認が必要です。
伐採費用は何で決まる?
伐採費用は木の高さと太さで決まります。以下に伐採費用の相場をまとめました。
倒木の高さ/状況 | 費用相場(1本あたり) |
~3mの倒木 | 3,000円~10,000円 |
3~5mの倒木 | 10,000円~20,000円 |
5m以上の大きな倒木 | 15,000円~30,000円 |
高木になるほど重機や特別な技術が必要となるため料金が高くなります。
また、作業の難易度も費用に影響し倒す方向に家屋や電線がある場合は特殊な伐採方法が必要なので追加費用が発生します。必要な人員数や機材の使用有無、所在地による地域差も料金に反映されます。
特に大木の場合は金額が高くなりますので、理解しておきましょう。
伐採後の処理費用(枝葉処分・抜根)
伐採作業完了後には枝葉処分と抜根の追加費用が発生します。以下に処理費用の相場をまとめました。
項目 | 料金相場 |
枝葉・幹処分 | 3,000〜15,000円 |
抜根 | 3,000〜30,000円 |
これらの費用は幹の太さやきの高さにより変動するので、必ず業者依頼時に詳細を確認しましょう。
立木の伐採に資格は必要?
立木の伐採に必要な資格は木の大きさや使用道具により決まります。大径木の伐採では伐木等作業従事者安全衛生特別教育修了証が必須で、労働安全衛生規則により義務付けられています。
チェーンソーを使用する場合はチェーンソー作業従事者特別教育講習修了証が必要です。この講習は林業や建設業で伐木作業を行う労働者に義務付けられており、安全な作業の知識と技術を習得できます。18歳以上であれば誰でも受講可能です。
小径木の伐採や道具を使わない場合は無資格でも対応できますが、安全面や法律を考えると講習受講や資格取得をおすすめします。
これらの資格や教育は伐採作業の安全確保と労働災害防止のために法律で規制されているので、無資格での危険作業は違法行為です。
立木の伐採時の法律や注意点
立木の伐採は法律で厳格に規制されており、伐採可能な立木の種類や申請方法が定められています。また、2025年4月のクリーンウッド法改正により規制が強化されましたのでここで解説します。
伐採可能な立木の種類
伐採可能な立木は所在する市町村の森林整備計画で定められる標準伐期齢以上の木が対象です。地域ごとに伐採すべき年齢の木が決められており、それを満たした木であれば主伐として伐採できます。
一方で保安林などの特定区域では主伐が禁止されており、伐採が制限される場合があります。間伐については森林の健全な育成を目的として行われ、適切な間伐基準に従う必要があります。
伐採前には必ず該当地域の森林整備計画を確認し、対象となる立木が基準を満たしているか確認し判断することが大切です。
伐採の申請・届出の必要性
森林法により森林を伐採する場合は市区町村への伐採届出が義務付けられています。届出をせずに伐採することは違法行為となるため注意が必要です。
届出が必要な範囲は地域や伐採規模により異なりますが、多くの場合は一定面積以上や特定の森林区域で申請義務が発生します。保安林や保護区域などではさらに厳しい規制が適用されるので、許可制となる場合もあります。
伐採前には必ず関係機関や自治体の最新情報を確認し、適切な手続きを踏むことが必要です。
まとめ
立木の伐採において最も重要なのは安全確保を最優先にすることです。伐採の規模や状況により自分で対応可能な場合と専門業者に依頼すべきケースが分かれており、無理な自己判断は大きな事故につながる危険があります。
専門業者への依頼は費用がかかる一方で、高度な技術と適切な機材を使用するため安全で確実な処理ができます。
また法律遵守や適切な手続きも覚えておかなければならず、森林法による届出義務やクリーンウッド法の規制を理解する必要があります。
伐採を検討する際は冷静に状況を判断し、安全性と確実性を重視した選択をしましょう。