間伐とは?目的から間伐の種類、メリット・デメリットについてわかりやすく解説

森林や林業について調べていると、「間伐」と初めて耳にする方も多いのではないでしょうか。

間伐は森林の健全な成長を促進するために過密となった樹木の一部を計画的に伐採する森林管理手法です。

本記事では、間伐の基本的な定義から伐採との違い、種類と方法、メリット・デメリット、そして環境への効果までわかりやすく解説します。

間伐とは

間伐は森林の健全な成長を支える林業技術です。過密になった森林から樹木の一部を計画的に伐採することで、残された木々の成長を促進し、森林全体の機能を向上させます。

間伐の目的と必要な理由

間伐が必要となる理由は、樹木が密集しすぎると光や養分の奪い合いが発生し、成長が阻害されるためです。

間伐の主な目的は、残された樹木の健全な成長促進、光の供給による下層植生の発達、土壌流出防止機能の維持です。

また、良質な木材生産や防災・地球温暖化防止効果への寄与も重要な目的といえます。間伐を行い樹木同士の競争が緩和されることで、太く丈夫な木が育ち、台風や雪害などの自然災害に対する抵抗力も向上します。

間伐と伐採の違い

間伐と伐採は目的と方法において根本的に異なる森林管理手法です。以下に違いをまとめました。

項目間伐伐採(皆伐)
目的森林の密度調整・健全な成長の促進木材の収穫や土地利用の転換
方法一部の木を間引く(選木・間引き)森林の全て、または大部分を伐採
影響森林全体の機能や生態系を維持・向上森林が一時的に消失、生態系への影響大
継続性森林を維持しながら繰り返し実施可能伐採後は再造林や土地利用転換が必要

このように間伐は森林を維持しながら行う作業であり、伐採とは目的と方法が異なります。

以下の記事で、伐採(皆伐)について説明してますので確認してみてください。

間伐をしないとどうなる?

間伐を実施しない森林では深刻な問題が発生し、森林機能の低下を招きます。まず、林床に光が届かなくなることで下層植生が消失し、土壌がむき出し状態となります。結果、雨や風による土壌流出が発生しやすくなり、森林本来の土壌保全機能が失われてしまいます。

また、樹木同士の激しい競争により細く弱い木が増加し、台風や雪害などの自然災害に対する抵抗力が低下します。

水源涵養機能の低下により、地域の水資源確保にも悪影響を及ぼします。これらの問題は連鎖的に発生するため、間伐を怠ることで森林の多面的機能全体が損なわれ、環境保全や防災面での重要な役割を果たせなくなります。

間伐の種類と方法

間伐は選木方法や作業目的により複数の種類に分類され、それぞれ異なる特徴と効果を持ちます。

ここでは、間伐の種類と方法について説明します。

定性間伐

定性間伐は樹木の形質や成長状態を個別に判断し、現場で一本ずつ伐採木を選定する方法です。成長不良木や形状不良木、枯損木を優先的に除去し、優良木を残すことで森林全体の質を向上させます。

主な手法として下層間伐と上層間伐があり、下層間伐では劣勢木や被圧木を中心に伐採します。一方、上層間伐は優勢木や成長良好木を中心に伐採します。定性間伐は森林の個性を活かした管理ができるので、生態系への配慮と木材品質の向上を両立できます。

定量間伐

定量間伐は森林の密度に着目し、あらかじめ伐採する割合や本数を決めて機械的に実施する方法です。樹木の個別評価を行わず、統計的な基準に基づいて伐採対象を決定するため、選木の手間が省けます。

また、定量間伐により作業効率が向上し、コスト削減効果も期待できます。ただし、優良木と不良木を区別せずに伐採するため、森林の質向上には直結しないという課題があります。そのため、作業効率を重視する場合や大規模森林での管理において有効な手法です。

定量間伐は機械化作業との相性が良い手法といえます。

列状間伐

列状間伐は定量間伐の代表的手法で、一定間隔を保ち列状に樹木を伐採する方法です。3残1伐や4残1伐など、森林状況に応じて列の間隔を決めます。

高性能林業機械による効率的な作業が可能で、搬出路の確保や作業効率向上に寄与します。機械化により人件費削減と作業時間短縮が実現でき、大規模森林での管理に有効です。

しかし、優良木と不良木を区別せずに伐採するため、場合によっては森林の質低下を招く可能性があります。そのため、実施前には森林の状態を確認し、他の間伐方法との組み合わせを検討することが重要です。

間伐のメリット・デメリット

ここでは、間伐のメリットとデメリットについて解説します。

間伐のメリット

間伐のメリットを以下にまとめました。

  • 林内への光供給により樹木の幹や根が太く発達
  • 下層植生繁茂による土壌流出防止と災害抵抗力強化
  • 間伐材利用による収入源増加とコスト削減
  • 持続的森林管理と資源循環の実現

上記のメリットにより、質の高い木材生産と環境保全が両立できます。特に下層植生の発達は水源涵養機能を高め、風害や山地災害に強い森林を形成します。

また、間伐材は一般木材よりも低コストで利用できるので、林業活性化と持続可能な森林開発に寄与します。

間伐のデメリット

間伐にはメリットもありますが、デメリットもあります。デメリットを以下にまとめました。

  • 間伐材処分時のコストと環境負荷の発生
  • 成熟前伐採による細い幹と限定的な利用用途
  • 普及不足と安定した需要量の確保
  • 列状間伐での機械的選木による不良木リスク

これらのデメリットへの対策としては、間伐材を有効活用するシステムを構築することが重要です。間伐材は木が成熟する前の伐採なので無垢材の利用が難しく、用途が限定されやすいです。

また、流通体制が未整備のため必要量を間伐材だけで確保することは困難です。しかし技術革新と流通改善により、これらの課題は解決できるので有効活用する仕組みを作ることが成功への第一歩といえます。

まとめ 

間伐とは森林の密度調整により樹木の健全な成長を促進する森林管理手法です。伐採との違いは森林維持を前提とした選択的作業である点です。

間伐は生態系保全や防災機能向上というメリットがある一方で、経済的負担や間伐材の用途制約といったデメリットも存在します。現在日本では間伐材の有効活用が課題となっており、持続可能な森林経営の実現には流通システムの整備が必要です。

環境保全と経済性のバランスを考慮した上で、長期的視点による森林資源の循環利用を推進することが持続可能な林業発展への鍵となるでしょう。

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