自伐型林業のメリット・デメリットを解説!始める前に知っておきたいポイント

自伐型林業に関心があるけれど、「本当に自分に向いているのだろうか」と迷っている方は多いでしょう。

自伐型林業は持続可能な森林経営として注目されていますが、実際には技術習得の難しさや収入の不安定性、地域との関係構築など、様々な課題が存在します。

本記事では、自伐型林業のメリット・デメリットから向き不向きの判断基準、生計を立てるために必要な山林面積まで詳しく解説します。

自伐型林業のメリット・デメリット

自伐型林業は持続可能な森林経営や低コスト参入などの魅力がある一方で、技術習得の難しさや季節性といった課題も存在します。

自伐型林業の6つのメリット

①持続可能な森林経営が可能

自伐型林業は、山林所有者や地域住民自らが適正規模の森林を管理し、長期的な視点で間伐を繰り返すことで、森林資源を持続的に活用できます。

②低コストでの参入が可能

小型機械のみでも作業ができるため、初期投資や維持費が大規模林業よりも大幅に抑えられます。作業道も狭くて済むため、敷設費も安価です。

③多様な就業機会と地域活性化

専業・兼業を問わず、幅広い人が参入しやすく、地域の新たな産業や雇用の創出につながります。

農業や観光などの他産業との兼業もできる上にコラボなどの相乗効果も期待できます。

④環境保全・防災効果

小規模で丁寧な施業により、山のダメージを最小限に抑えることができるので土砂災害や獣害の防止にも寄与します。

⑤高品質材の生産による収益性

通常の間伐に比べて頻繁に樹木を伐採する多間伐施業を行うことで、樹齢を重ねた高品質な木材を安定的に出荷でき、収益性が向上します。

⑥移住・定住の促進

安定した収入源となることで、地方への移住や定住を促し、人口減少対策にも貢献します。

自伐型林業のデメリット

自伐型林業のメリットを解説しましたが、デメリットもございますのでここで解説します。

技術習得に時間がかかる

森林の特性を見極める力や、適切な間伐方法などの専門的な知識や技術が必要でなので、初心者が一人前になるまでには時間がかかります。

施業計画や作業道設計の難しさ

山ごとに適した施業や作業道の敷設には判断力が求められ、誤った方法で行うと森林の持続性が損なわれるリスクがあります。

大規模林業に比べると生産量が少ない

小規模施業のため、一度に大量の木材を生産・出荷することは難しく、大規模な需要には対応しづらい側面があります。

立地条件による制約

すでに大規模な作業道が敷設されている山林や過度な皆伐が行われた森林では、自伐型林業の導入が難しいケースもあります。

自伐型林業が向いている人・向いていない人

自伐型林業は参入しやすい一方で、求められる資質や適性があります。始める際は、環境を踏まえた上で自分に向いているかどうかを事前に把握しておくことが重要です。

自伐型林業が向いている人

自立心が強く、自己管理ができる人

自伐型林業は作業計画から実務、販売、経営管理まで自分で行う必要があるため、主体的に物事を進められる人が向いています。

決められた作業をこなすだけでなく、天候や森林の状況に応じて柔軟に計画を変更し、自己責任で判断を下す力が必要です。

体力・忍耐力・精神力がある人

林業は体力仕事であり、天候や自然環境に左右されるため、体力だけでなく忍耐力や柔軟な対応力、精神的な強さが求められます。

急斜面での作業や重い機械の操作、悪天候での屋外作業など肉体的負担が大きく、思うように作業が進まない日もあります。

そのような状況でも諦めずに継続できる精神力と、長期間に渡り安定した作業を続けられる体力が必要です。

学び続ける意欲がある人

林業技術や経営知識、地域との関係構築など幅広い知識が必要になるため、継続的に学ぶ姿勢が大切です。森林の特性や適切な間伐方法、機械の操作技術、木材の販売先開拓、補助金制度の活用方法など覚えるべき分野は多岐にわたります。

また技術革新や市場動向の変化に対応するため、常に新しい情報を取り入れ、自分のスキルをアップデートし続ける学習意欲が成功には欠かせません。

地域との協調性がある人

地域住民や山林所有者、行政、森林組合など多くの関係者と連携する場面が多いのでコミュニケーション能力や協調性が必要です。

山林の境界確認や作業道の設置許可、木材の販売先確保など、様々な場面で関係者との連携が必要になります。

地域の慣習や人間関係を理解し、信頼関係を築きながら事業を進められる人でなければ、長期的な成功は難しいといえます。

自分のペースで働きたい人・兼業志向の人

自伐型林業は少人数・低資金で始められ、農業や観光などの仕事と兼業しやすい点も特徴です。会社員のような決められた勤務時間ではなく、天候や季節に合わせて自分のペースで作業を進められます。

春夏は他の仕事に集中し、秋冬は集中的に林業を行うといった働き方もできます。複数の収入源を確保したい人や、ライフワークバランスを重視したい人に適した働き方です。

地方移住や自然志向のライフスタイルを望む人

地方での定住や自給自足的な暮らし、自然との共生を目指す人には自伐型林業はおすすめです。

森林と向き合いながら働くことで四季の変化を肌で感じ、自然のリズムに合わせた生活を送れます。また地域コミュニティの一員として地方の活性化に貢献できるため、社会的な意義も感じられる職業です。

自伐型林業が向いていない人

向いている人がいる一方で自伐型林業に向かない人もいます。自分の性格や状況を客観視し、現実的な判断をすることが大切です。

ここでは、自伐型林業が向いていない人の特徴を5つ解説します。

全てを自分で管理・決断するのが苦手な人

自伐型林業は作業や経営、行政手続きまで自分で行うため、受け身な人や自己管理が苦手な人には難しい面があります。自ら作業計画を立て、予算管理を行い、販路を開拓しなくてはなりません。

また、突発的なトラブルや天候変化への対応も自分で判断が必要です。指示されたことを確実にこなすタイプの人よりも、自分で考えて行動できる人が求められる職業です。

体力や健康面に不安がある人

山仕事は肉体的負担が大きく、長時間の屋外作業が続くため、体力や健康に自信がない人には厳しい職種です。急斜面での伐採作業や重い丸太の運搬、重機の長時間操作は体力を消耗します。

また夏の暑さや冬の寒さの中での作業、雨や雪といった悪天候下での屋外作業も避けられません。

安定した収入をすぐに求める人

自伐型林業は、軌道に乗るまで数年かかる場合が多く初期は収入が不安定なため、短期的な安定収入を望む人には不向きです。技術習得や販路開拓、地域との信頼関係構築には時間を要し、すぐに安定した売上を確保するのは困難です。

また、季節により作業量が変わるため毎月一定の収入を得ることも難しくなります

協力を得るのが苦手な人・孤立しがちな人

地域や関係者との連携が不可欠であり、周囲と協力できない場合は事業継続が難しくなります。山林の境界確認では隣接する土地所有者との連携が必要で、作業道設置には地域住民の理解と協力が求められます。

また木材の販売先確保や補助金申請でも行政や森林組合との連携が欠かせません。人とのコミュニケーションを避けがちな人や、単独で作業を進めたいタイプの人には、自伐型林業の人間関係の複雑さは負担となります。

新しい知識や技術を学ぶ意欲がない人

林業は常に学び続ける必要があり、変化に対応できない人には向いていません。森林の成長に合わせた施業方法の調整や、新しい機械の操作技術、木材市場の動向把握など、継続的な学習が求められます。

また、法規制の変更や補助制度の改正にも対応が必要です。一度覚えた技術だけで長期間働き続けたい人や新しいことを覚えるのが苦手な人にとっては、自伐型林業の学習要求の高さは大きな障壁となるでしょう。

ここまでで紹介した項目を確認した上で向いていると思った方は、以下の記事で自伐型林業の始め方も解説していますので参考にしてみてください。

自伐型林業で生計を成り立たせるための山林面積はどれぐらい?

自伐型林業で生計を立てるには、1人あたり30から50ヘクタールの山林面積が目安とされています。この面積は年間3ヘクタール程度を整備し、10年に一度の間伐を繰り返すことを前提としたものです。

ただし必要な面積は「どの程度の所得を得たいか」により異なります。最初からまとまった面積を確保するのは難しいため、少面積から始めて徐々に管理面積を増やすケースが一般的です。

面積確保と同時に、適切な施業計画の立案と実行が収益性の向上には欠かせません。

まとめ

自伐型林業は持続可能な森林経営と低コスト参入というメリットがある一方で、技術習得の難しさや収入の不安定性といったデメリットも存在します。

成功するには自立心や体力、地域との協調性が求められ、生計を立てるには30から50ヘクタールの山林面積が目安として必要です。

客観的に自分を見て向き不向きを理解し、長期的視点で取り組むことが重要です。

自分の適性やライフスタイルと照らし合わせ、現実的な判断のもとで自伐型林業への参入を検討することが成功への第一歩となるでしょう。

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