山林を売却して利益が出た場合、所得税と住民税が課税されます。しかし、土地と立木では課税方法が異なるため、注意が必要です。
本記事では、山林売却でかかる税金の計算方法を、土地と立木に分けて解説します。また、申告方法についてもご紹介します。
山林売却を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
山林売却でかかる税金の計算方法
山林を売却して利益が出た場合、所得税と住民税が課税されます。山林の売却方法は大きく2つあり、土地を譲渡する場合と、立木を売却する場合で、それぞれ異なる税金計算方法が適用されます。
土地の譲渡「譲渡所得」
山林を土地として売却する場合は、「譲渡所得」として課税されます。譲渡所得は、以下の式で計算されます。
譲渡所得 = 山林の売却収入 – (取得費用 + 売却費用)
取得費用が不明な場合は、売却収入の5%を概算取得費として使用できます。
さらに、譲渡所得に対して、所有期間によって異なる税率が課されます。
所有期間 | 所得の種類 | 所得税率 | 住民税率 |
---|---|---|---|
5年超 | 長期譲渡所得 | 15% | 5% |
5年以下 | 短期譲渡所得 | 30% | 9% |
参照:No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)|国税庁
立木の売却「山林所得」
山林の立木を伐採して譲渡したり、立木のまま譲渡する場合は、「山林所得」として課税されます。ただし、5年以内に取得した山林の譲渡は事業所得、または雑所得になります。
山林所得は、以下の式で計算されます。
山林所得 = 立木等の売却収入 – 必要経費 – 特別控除額 (最大50万円)
必要経費には、伐採費用や運搬費用などが含まれます。
山林所得に対しては、「5分5乗方式」と呼ばれる方法で税金が計算されます。
山林所得 × 5分の1 × 税率 × 5 = 山林所得税
税率は所得金額によって5%から45%まであります。
山林所得の申告方法
山林所得の申告方法は、以下の手順で行います。
1. 必要書類を準備する
- 申告書第一表、第二表
- 申告書第三表(分離課税用)
- 山林所得収支内訳書(計算明細書)
- 山林台帳
- 売買契約書(譲渡の場合)
- 領収書(必要経費を証明するもの)
2. 山林所得の金額を計算する
山林所得の金額は、次の式で計算します。
「山林所得金額 = 山林収入金額 – 必要経費 – 特別控除額」
山林収入金額
山林を伐採して立木を販売した場合の収入金額です。譲渡の場合は、譲渡価額となります。
必要経費
山林を伐採したり、譲渡したりするために必要な費用です。具体的には、伐採費、搬出費、運搬費、仲介手数料などが含まれます。
特別控除額
山林所得に対する控除額です。山林を長期間にわたって所有・管理してきたことを考慮して、所得金額から控除されます。
3. 確定申告書の作成、提出
確定申告書への記載方法は、国税庁のホームページを参考にご確認ください。
確定申告書は、2月16日から3月15日までの間に、税務署に提出しましょう。
まとめ
今回は、山林売却時にかかる税金について解説しました。これまでの内容をまとめると以下の通りです。
- 土地の譲渡:譲渡所得 = 山林の売却収入 – (取得費用 + 売却費用)
- 立木の売却:山林所得 = 立木等の売却収入 – 必要経費 – 特別控除額 (最大50万円)
- 必要書類を準備:申告書、山林所得収支内訳書、山林台帳、売買契約書、領収書
- 山林所得の金額を計算:山林収入金額 – 必要経費 – 特別控除額
- 確定申告書を作成と提出:提出期限: 2月16日 – 3月15日
山林所得の申告は、複雑な場合もあるため、わからない場合は税務署や税理士に相談するようにしましょう。